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管理栄養士・栄養士のみなさんが日ごろの業務のなかで悩んでいることについて、ベテラン管理栄養士からアドバイスをしていただきます。 |
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栄養ケアの時間がない ほかの職種に協力してほしい・・・
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一人で「何でも」やらなければならないのはさぞ大変でしょう。 残業も多くしていることとお察しします。 相談者にまず考えていただきたいことは、「なぜ国が管理栄養士に栄養ケア・マネジメントを課したか」という当初の目的を思い出すことです。 2005年10月に栄養ケア・マネジメントがスタートしてから丸3年。 私も忘れてしまうことがあるのですが、福祉施設の管理栄養士には、利用者さんにおいしい食事を出すだけでなく、 低栄養などの問題を抽出して対応し、利用者さんの状態をよりよく保つという「新たな責任」が与えられたのです。 したがって、「栄養ケアに時間が割けない」と主張するのではなく、管理栄養士は栄養ケアに時間を割く努力をしなければならないのです。 といっても、今までの仕事にプラスして栄養ケアをこなさなければならないわけですから、簡単にはいきません。 ですので、発想を変えてください。まず先に、栄養ケア・マネジメントの時間をつくる。 それによってはみ出た(残業になったり、終わらなかったりする)仕事を整理し、ほかの人に割りふるのです。 相談者の施設が、給食業務を委託しているか直営なのかがわからないので、分けて考えてみます。 直営の場合は、管理栄養士のあなたが「やらなければいけない」と思っている"何でも"をまずは書き出してみてください。 そのなかから、冷静に考えると「管理栄養士でなくてもできる仕事」を探します。 たとえば、発注~検品での温度管理や鮮度管理なども一人でやっていませんか? それらの仕事をほかの人にふります。調理スタッフから「できない」と言われてしまうのであれば、直属の上司や施設長に申し出ます。 「管理栄養士の私が栄養ケアに取り組むには1週間に○時間必要で、 そのために○○と△△の仕事はほかの方にお願いしたい」と、数字を使って文書にしてお願いするのです。 「ほかの方」が調理スタッフになるか、新たにパートの栄養士を雇うかは、経営陣が判断することなのでお任せしましょう。 委託会社の場合も同じで、自分のしている仕事を書き出したなかから、委託先に新たにお願いしたい仕事をリストにします。 自分で委託先の方に依頼してもいいですが、施設の責任者と委託会社の責任者で話し合っていただくほうがいいと思います。 栄養ケア・マネジメントは管理栄養士にしかできません。"何でも"のなかでも優先的にやりましょう。 そして、ほかの職種のモチベーションを上げるには、まず管理栄養士が変わることです。とにかく利用者さんのいるフロアに行ってください。 「最近、管理栄養士さん変わったね。よく来るようになったね。 何か気になるの?」と聞かれたら、「利用者さんの食べる様子を見にきました」とその目的を伝えましょう。 「栄養ケアができない」とぶつぶつ言っている人には誰も手を貸してくれませんが、 利用者さんを一緒に見ている仲間には、介護スタッフも相談にのってくれるはずです。 栄養ケアが大変な理由の一つに、「書類を書くこと」があるでしょう。体重の変動、食事がとれているかどうかなど、 ポイントを絞った書きやすいオリジナルの書式をつくることをお勧めします。それには栄養士仲間や雑誌に出ている先輩栄養士に電話をして、 1枚ずつもらって参考にするのも手です。私も近隣の施設とお互いに見せ合ったりしてヒントをもらい、 A4サイズ1枚で半年分の記録が書けるものを作成しました。 あなたは決して一人ではありません。仕事に煮詰まったときこそ、人(調理スタッフ、施設の上司、ほかの職種、栄養士仲間)の助けをもらう勇気をもち、 管理栄養士として新たな一歩を踏み出してください! (回答者:高橋真理子さん 社会福祉法人マザアス 特別養護老人ホームマザアス東久留米 ヘルスケア課主任・管理栄養士) |