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日本保健医療福祉連携教育学会理事長
新潟医療福祉大学学長 高橋 栄明
 

 医学の進歩は、医療関連の多種類の専門職を生み出し、高齢者の増加は、福祉関連の多種類の専門職を必要とした。近年、医師不足や医療崩壊ということが注目され、健康維持と増進に大きな課題となっている。地域間格差、専門科の充足差を生じ、増加した高齢者の医療および福祉における多様な需要に対し、一人の専門職では対応が困難となった。そのために、「チーム医療」「医療福祉連携」の必要性が社会的にも認められてきた。保健、医療、福祉分野の専門職が、疾病予防、医療と、福祉の課題に対する解決策を共有化し、そのうえで各自の専門性を発揮して、他の専門職と連携して活動する専門職間協働(interprofessional work, IPW)がきわめて重要となった。

 超高齢社会において必要とされるのは、ハードウェアだけの充実ではなく、「地域医療力」「地域福祉力」「地域教育力」のソフトパワーの向上である。それによって保健医療福祉分野の継ぎ目のないサービスとケアは可能になる。

 日本の大学教育での連携教育、すなわち専門職間教育(interprofessional education, IPE)は一部の先駆的大学において実践されてきた。しかし、医療職と福祉職との連携教育は未だ少ない。また、大学の教育職と現場の専門職とによる実践や研究成果の蓄積と共有は十分とはいえない。教育の内容や方法の開発や改善と、連携教育の理論の説明と効果の評価は極めて重要であり、現場における連携と協働の必要性が大学等の高等教育のカリキュラムに反映されなければならない。この分野で先進的な英国はじめ、国際的な連携教育の関係組織・学会との情報交換・交流も推進していく時期となった。

 2006年から07年にかけて、日本リハビリテーション連携科学学会の分科会として活動してきた保健医療福祉連携教育研究会は、学会理事長・澤村誠志先生のご理解を得て、08年11月「日本保健医療福祉連携教育学会」として新たなスタートをきることとなった。

 本学会は、「連携教育」によって、新しい能力をつくることを志向している。保健医療福祉分野の専門職を目指す複数職種の学生が、お互いからお互いについて、共に学ぶことによって始まる。多職種間チームとして働けるメンバーは、お互いを理解し、尊重する、利用者の参加を促す、ケアを責任を持って実践する、ポリシーや臨床を評価する、良いチームワークをつくり上げるリーダーシップを持ち、協働するメンバーとなるという能力を持つということである。

 そのためにも、地域での医療福祉ネットワークや現場での協働の成果などのフィードバックを得て、それを教育のなかに反映させていくことに取り組んでいきたい。教育における連携と現場における協働のそれぞれの成果を同じ場で発表し、相互に討論し、多様な専門職協働の現状の全体を俯瞰し、共有できる本学会には大きな意義があると信じている。

 学生への多職種連携教育を推進することで、現場での協働が今後さらに進むことが期待できることから、保健・医療・福祉の分野において、大きな「パラダイムシフト」が必要だと強調したい。

  2009年1月 <
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