入れ歯を歯磨き粉で磨くと傷みやすい? |
心臓疾患があり、最近ベッドでの生活が多くなった母を介護しています。 先日、ある友人から「入れ歯を洗う時、歯磨き粉をつけると入れ歯が傷む」という話を聞きました。 これまで母の入れ歯を洗うのに歯磨き粉をつけていたのですが、やめたほうがよいでしょうか。 (神奈川県 STさん 48歳) |
【答える人】 五島朋幸 先生 (歯科医・ふれあい歯科ごとう院長) 地域の訪問歯科医として活躍中。口腔ケアの普及啓発にも力を注いでいる ◆ホームページ:「地域ケアを実践する ふれあい歯科ごとう」 |
入れ歯が傷むほどの 研磨剤は入っていません 実は、最近になって同じ質問を多くの現場で受けるようになりました。そこで今回は、歯磨き粉を使うと入れ歯が傷むかという問題を冷静に考えてみましょう。 まず、入れ歯そのものの材質は硬質のプラスチックで、少々のことで傷むことはありません。何せ数十キロという噛む力に耐えなくてはならないのですから、決して弱い材質ではないのです。 次に、歯磨き粉について考えると、確かに研磨剤は入っています。テレビコマーシャルで「白い歯」などと表現しているのは、単に食べ物のかすや細菌を落とすだけでなく、表面の着色も磨いて落とすという意味が含まれているのです。しかし、「やっぱり削れるんだ」などと早合点しないでください。黄ばんだ歯が歯磨きをするだけで真っ白になるということは、まずありません。 もし、そんなに表面が削り取られる歯磨き粉があったとすると、歯には害となりますから、研磨剤は適量しか含まれていないのです。それより、ブラシのほうがよっぽど影響あると思いませんか。金ダワシのようなもので鍋を磨くと、いっぺんに傷つきますよね。つまり、歯磨き粉よりもブラシの質に配慮したほうがいいでしょう。 実際、歯磨き粉を使っているから入れ歯に傷がついたという例を見たことがありません。ということで、今までどおりのケアの仕方で良いと思いますよ。 |
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「一問一答 よろず相談」は、『かいごの学校』(現在、休刊中)より掲載したものです。 |