風疹の報告が急増しています |
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今 年の風疹患者数は、5月1日の時点で5,000人を超え、昨年1年間に報告された患者数の2倍以上です。首都圏中心だった流行は、現在は大阪・兵庫・鹿児島中心に患者数が増加し、現在全国規模の流行となっています。 風疹は子どもがかかる病気という印象があるかもしれませんが、現在の流行は患者の9割以上が成人。約8割が男性で、その大半が20~40代というのが特徴です。 一番の心配は、風疹の免疫がない、あるいは免疫が不十分な妊娠20週ごろまでの女性がウイルスに感染することで胎児も感染し、先天性の心疾患や難聴、白内障などの病気を持って生まれること(先天性風疹症候群)です。子どもを持つ年代で流行が広がると、妊娠初期に風疹ウイルスに感染する可能性が高まります。風疹は飛沫で簡単に移るので、男性や妊娠していない女性がかかると、家族や同僚に妊婦がいた場合、妊婦や赤ちゃんに風疹ウイルスを運んでしまうかもしれない──。だからこそ、風疹は「予防」が大切なのです。流行を抑制するには、多くの人が免疫をつけ、かからないようにするほかに方法はありません。 |
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免疫持たない子育て世代のワクチン接種が急務 |
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現在は1歳と小学校入学前までに2回の接種の機会がありますが、過去の接種制度の移り変わりで、子どものころに予防接種のチャンスがなかった年代があります。その免疫をもたない世代を中心に流行が広がっているのです(図)。 1962年4月2日から79年4月1日生まれ(2013年で34~51歳)の男性は要注意です。この世代は、中学生のときに集団接種が行われていましたが、対象は女子だけでした。79年4月2日から87年10月1日生まれ(26~34歳)の男女は、個別接種に切り替わった時期で接種率が激減したため、注意が必要です。さらに87年10月2日から95年4月1日生まれ(18~26歳)の男女も、接種していない人や2回目の接種をしていない人が多くいます。 |
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まずは、母子手帳などで自分が接種を受けているか確認してみましょう。免疫をつくるには、2回の接種が確実。接種を受けたか不明の人はもちろん、1回しか接種していない人も、免疫をもっていない場合があります。また、風疹にかかったことがある人のなかにも、風疹だと思っていたのが実は麻疹やリンゴ病、溶連菌感染症などで、実際には風疹の免疫をもっていないという場合も多くあります。確実に免疫をつけるために、今こそ予防接種が必要です。 風疹の予防接種は、麻疹風疹混合(MR)ワクチンがお勧めで、小児科を標榜している医療機関であれば、たいてい受けることができます。金額は1万円前後ですが、市町村によって補助があるところもあります。お住まいの市町村に問い合わせてみましょう。 |
風疹とは
発疹、リンパ節腫脹、発熱を主な症状とする急性ウイルス性疾患で、くしゃみなどの飛沫により感染する。潜伏期間は2~3週間で、発疹が出る前後の数日間に感染力がある。
「先天性風疹症候群」予防のため、男女ともに予防接種を受けること、特に女性は妊娠中には予防接種を受けられないので、妊娠前に夫婦そろって免疫を獲得しておくことが勧められている。