お仕事&受験校まるわかり事典
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土井 まずは皆さんが、数ある職業の中から医療職を選んだ理由を教えてください。舘 私の場合は手に職を持ちたかったことが一番の理由です。それと子どものころ、勉強や習い事の合間に見た医療ドラマの影響も大きいですね。「救命病棟24時」とか「コードブルー」「1リットルの涙」などを見て、私もこんな世界で活躍したいと憧れました。上村 実は私もドラマの影響を受けました(笑)。「ギネ」や「コウノドリ」といった産婦人科が舞台のドラマをよく見ていました。もともと人に関わる仕事がしたくて、周産期や救命に関わりたいと思っていたのですが、ドラマを通じてその思いが強まりました。菅家 私は月並みですが、人を助ける仕事に就きたかった気持ちからです。それを強く思うようになったのは東日本大震災の体験です。そのころ私は神奈川県に住んでいて、激しい揺れに周りはパニックでした。その光景を目の当たりにして、将来、人を助けたり安心させたりできる職に就きたいと思いました。土井 医療職の中でも救急救命士を選んだのは、どうしてですか。菅家 最前線で人命救助に関われるからです。自衛隊や警察などと違い災害時だけでなく、日常的に救命の仕事に携われるのも魅力に感じました。土井 野原先生、中田君にお聞きします。お二人はなぜ、医師を志したのでしょうか。野原 小学生のころから漠然と医師になりたいと思っていました。その理由を探ると私も多分、テレビ番組の影響です。土井 テレビの影響、大きいですね(全員爆笑)。野原 私の場合はいわゆる「スーパードクター」を取り上げたドキュメンタリー番組をよく見ていました。記憶が曖昧ですが、ヒーローのような存在に憧れて、医師の仕事に興味を持ち始めたのだと思います。中田 私にとっての一番の理由は、恩師が35歳の若さで亡くなったことです。身近な若い人の死に初めて接し、人生観がちょっと変わりました。恩師の死因は敗血症で、どうしたら治せるのか調べたところ、救急医らが迅速に集中治療を行えば助かる可能性があったことが分かりました。しかし恩師は救急車でたらい回しにされるうちに亡くなりました。恩師のような事例をなくしたいと思い、医学部を受けました。土井 なかなか深いお話です。お二人は富山県内のご出身ですが、富山大学を選んだのは地元の大学だからですか。中田 はい。地元に貢献したい気持ちは勿論、ありました。野原 私も同じです。土井 地元への貢献意識はとても大切です。ちなみに私の場合は、手に職をつけたかったんですね。弁護士を目指そうとした時期もありましたが、医師以上に難関で‥。それとやっぱり人を助ける仕事の筆頭は医師であると思い、最終的に医学の道に進むことにしました。今では正しい選択だったと思っています。次に、富山大学附属病院で働くことを決めた理由について、皆さんにお聞きしたいと思います。菅家 院内救命士を採用してくださる医療機関は全国的にまだ多くありません。富山大学附属病院は、救命士としていろいろな症例に携わり豊富な経験を積める、数少ない大規模病院なので選ばせていただきました。上村 富山大学附属病院は重篤な患者さんを受け入れる三次救急医療機関であり、地域の「最後の砦(とりで)」です。その分重症な患者さんと関わる機会が多く、看護の仕事に最もやりがいを感じられる場所だと思いました。舘 救命士さんや看護師さんをはじめ、いろいろな職種の人たちと働ける環境は私自身の勉強にもなります。多職種間のチームプレーが救急医療ではとても重要です。患者さんを救うために、皆が力を合わせ、それぞれの最善を尽くす。それをできるのが大学病院の魅力であり、長所です。日々それを実感しながら仕事をしています。土井 今のお話にあったように、救急外来に限らず大学病院は実に多くの職種の人たちによって成り立っています。舘 私は1人では何もできません(笑)。土井 私も同じです。舘先生は結婚されてお子さんもいらっしゃいます。家庭を持つ女性救急医としてワークライフバランスについては、どうお考えですか。舘 救急の職場は医師も看護師さんも救命士さんも皆、シフト勤務です。急な呼び出しもないので、日常の予定が立てやすいですね。大所帯なので協力してくださる先生方も多く、育児・家事との両立がしやすいです。富山大学附属病院には院内保育所があり、病児・病後保育も充実していて、女性が長く仕事を続けられる環境が整っています。土井 上村さんと菅家さんは、富山大学附属病院の女性が働く環境について、どう思われますか。上村 子どもが小1まで時短勤務ができますし、育休・産休もしっかり取れます。舘先生もお話しされたように、働きやすい環境にあると思います。菅家 救命士の職場は消防、という認識が一般的で、私も初めは消防救命士を目指していましたが、実習中に院内救命士が増えていることを知り、消防のように火災現場に出動すること3030Publicity Planning富山大学附属病院災害救命センターの医師、看護師、救急救命士と研修医、学生が、それぞれの立場から救急医療のやりがいや同病院の魅力について語り合いました。救急医療のやりがいや当院の魅力について

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