わが社は、ヘルスケア分野の経営に関するリーディング企業として成長を遂げてきました。その原点は、「医療にも経営が求められる時代が必ず訪れる」という確信と、「新しい変化は自ら創り出していく」という揺るぎない信念にあります。
創業翌年に創刊した『ばんぶう(現・クリニックばんぶう)』は、時代を先取りした日本初の医療経営専門誌として評価されると同時に、わが社がモットーに掲げる「挑戦」と「創造」の象徴でもあります。
2010年からは医療経営を担う新しい資格「医療経営士※1」の養成事業に携わり、累計19,201人の資格認定試験合格者を輩出しました※2。次いで、「介護福祉経営士※3」「栄養経営士※4」という新資格を誕生させました。さらに介護福祉分野の人材育成のあり方を根幹から問い直すため「介護福祉教育指導者養成講座※5」の普及にも全面的に関わっております。
このように出版社でありながら教育事業を重視し拡大する理由は、これからの医療・介護の再構築には「人づくり」が必要不可欠だと考えているからです。企業のみならず個人までもが多くの制度に依存する“依存型社会”が形成されつつありますが、医療や介護も同様です。超高齢社会の到来で多くの問題を抱えていますが、それを解決すべき人材の不足が顕著に表れています。
こうした現状認識から、わが社は経営ビジョンのなかで、「21世紀の『新たな地域社会づくり』に積極的に参画」することを謳っています。
わが国の現状を鑑みますと、経済的な発展を遂げた一方で、地域、教育、家庭など、あらゆる場面で“崩壊現象”が進みました。特に深刻なのが、地域社会の空洞化です。高度成長期を経て、東京一極集中が進んだことにより、地方では少子高齢化が加速し、活力が失われ、その土地の文化や風土も損なわれています。その結果、物質的には栄えたものの「心」が滅んでいる、という現代社会の姿を表しているような気がしてなりません。
このように、地域社会が弱体化した状態を放置したままでは医療、介護の再構築は不可能ではないでしょうか。医療・介護は生活に密着したきわめて人間性を重んじるサービスであり、地域性が強いという特色をもっているからです。「地方創生」が叫ばれる中にあって、暮らしやすく子どもの声が響きわたるような地域をいかにつくり、地域に活力を取り戻すのか、という「新たな地域社会づくり」という視点が求められています。
わが社は、全国に6支社を置いて地域ネットワーク網を築いてまいりました。今後は、「人材育成塾」事業など地域における「人づくり」の基盤強化を進めると同時に、インフラや公共財になるような商品・サービスを開発する、地域社会に不可欠な企業をめざし、さらなる「挑戦」と「創造」に邁進する所存です。 ※1:一般社団法人日本医療経営実践協会の認定資格です。
※2:2020年7月現在
※3:一般社団法人日本介護福祉経営人材教育協会の認定資格です。
※4:一般社団法人日本栄養経営実践協会の認定資格です。
※5:一般社団法人介護福祉指導教育推進機構の認定講座です。