「介護福祉」を21世紀の最大成長分野に押し上げるイノベーション教材!!
【解説】小濱道博(小濱介護経営事務所代表)
──「介護福祉経営士」テキスト基礎編Ⅱ第2巻、『介護報酬制度/介護報酬請求事務』を執筆いただきました。どのようなことがポイントなのでしょうか。
第一に強調しておきたいのが、介護報酬を理解することはコンプライアンスの観点から不可欠である、ということです。 厚生労働省老健局介護保険指導室の調べによると、2000~10年度に指定取消等の処分を受けた施設・事業所は合計880件にのぼります。その多くは介護報酬の不正請求や人員基準違反などです。 また、介護報酬の不正請求による返還額は、東京都の実地検査調書によると09年度だけでも2億円余り。全国では約50億円に達します。これらは基本サービス費や各種加算の算定要件を満たしていないにもかかわらず請求したために、返還等の事態を招いた例が少なくありません。 厚労省の通知が示す算定基準を読んで把握しておけば、避けられる経営リスクなのです。
──本テキストでは、介護報酬の算定要件だけでなく、実地指導での指摘事例なども交えて解説しています。
介護報酬の算定構造を理解したうえで、各サービス種別の基本報酬や各種加算の算定要件を学べるように構成しました。基本的な項目を網羅しているので、学習用のテキストであると同時に、いつでも調べられるように職場に常備する、実務書としても活用できると思います。 さらに、「実地指導において指摘されやすい項目と対策」という章も設けました。理想は実地指導を受けないことですが、指摘を受けた実例を通して、人員体制や書類整備等、算定要件を満たしているか確認する際の参考にしてほしいと思います。
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──もう一冊、『まるわかり! 介護報酬改定 重要ポイント解説と経営シミュレーション』も上梓されました。
2012年度介護報酬は、訪問、通所系サービスにおいて時間区分が見直されるなど、基本報酬について大幅に変更されています。
したがって、介護計画に提供時間の変更を反映させて、説明・同意を得て、記録に残す必要があります。
こうした対応を済ませていないと、運営基準違反となり返還の対象になってしまいます。経営的には大きなリスクを抱えることになるのですが、意外と現場では認識されていません。
『まるわかり! 介護報酬改定』では、算定にあたって〝やらなければならないこと.を詳しく説明しました。たとえば新設された「介護職員処遇改善加算」は必要な手続きなどを一つでも怠ると全額返還となるので注意が必要です。テキスト『介護報酬制度/介護報酬請求事務』とセットで活用してほしいですね。
──介護報酬をきちんと理解することは、介護経営の最大のポイントなのですね。
2003年の介護報酬改定から現在に至るまで、基本報酬は上げられていません。 09年度は3%プラス改定でしたが、すべて加算項目に振り分けられました。介護報酬においては、加算を算定しなければ事業が成り立たないといっても過言ではないでしょう。
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──最後に、「介護福祉経営士」をめざす方々にメッセージをお願いします。
どれだけ経営改善に力を注いでも、介護報酬を返還するような事態になれば、努力が水泡に帰してしまいます。 しかし、算定要件などはいったん理解すれば、次回改定まで3年間は通用します。また、加算の多くは人員体制や記録・書類の整備が求められるので、人事や組織のマネジメントにも連動します。その意味でも介護報酬制度は、「介護福祉経営士」にとって必修科目だと言えるでしょう。
小濱道博(小濱介護経営事務所代表)こはま・みちひろ
北海道出身。北海学園大学経済学部卒業。札幌市の会計事務所での勤務等を経て、現在は小濱介護経営事務所を主宰。
介護事業コンサルティングのクライアントおよび支援先は全国に及ぶ。介護事業経営セミナーの講師実績は、2011年は北海道から九州まで145カ所、延べ1 万人以上の介護事業者を動員。
全国の介護保険課、各協会、社会福祉協議会等主催の講師実績、介護専門誌への寄稿・連載も多数。「会計王13 介護事業所スタイル」を監修。
「介護福祉経営士」資格認定試験の試験日程・概要については
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